飛行船と保定

前回、ウサギの置物を医院のカウンターに設置しましたが、

もう1つ追加したオブジェがございます。

キッズルームのボールテントの上に、飛行船と気球が浮いています!

これはスタッフの伊藤さんに、空いた時間にチクチク作ってもらった力作でございます。

モビールになっていて、エアコンの前に吊るされているので、風でフワフワ動いています。

もし自分が乗った気球があんなに揺れたら生きた心地がしないでしょう。

キッズルームの天井は空模様でしたので、ずっと何か吊るしたいと思っていました。

鳥や飛行機を考えましたが、ファンシーな気球にしてみました。

念願叶って初飛行。思った以上に可愛らしいです。

吊るしてみて思ったのは、キッズ達からするといい的なのではないか・・・?

ボールもいっぱいあるし、なんならデンツ君もある。

玉を投げて当てたらなんと楽しそうであろうか!

しかし、衛生士伊藤さんが丹精込めて作った、言うなれば魂のようなもの。

キッズ達のために作り上げた作品を、

今度はキッズ達から守らなくてはならないとは、なんと皮肉か。

キッズ達よ、飛行船と気球に気づいたらチラ見くらいにしておいて欲しい。

間違ってもヒンデンブルグ号のように墜落させてやろうだなんて考えてはいけないよ。

頑張って作り上げたものを維持するために守ろうと努力する事は、

歯並びと似ているかもしれません。

矯正治療は決してラクな道のりではありません。

痛みと煩わしさに耐え、時間と費用をかけて実現した歯並びは、

喜びとともに達成感がある事でしょう。

でも、矯正治療は歯並びがキレイになったら終わりではなく、

そこからいかに良い歯並びを維持するかが大事なのです。

人間の体は元あった状態に戻ろうとする習性があります。

ダイエットにおけるリバウンドのようなものが矯正治療にはあります。

動かす治療が終わったら動かさない治療が始まるのです。

これを、保定と言います。

人間の体は日々変化しています。若いうちは成長として、年をとると老化として。

矯正治療した後も歯並びはある程度変化してしまう。

そこで、リバウンド防止装置としてリテーナーを使用するのです。

現在、歯並びを一生保つためには、リテーナーを使い続ける以外に方法はありません。

若く美しく健康な状態をキープするためには、やはり努力が必要という事ですね。

逆に、アンチエイジングとしてはこれほど確実な方法はありません。

リテーナーを使用する「だけ」ですから。

では、保定治療はいつまでやるの?

歯周組織が安定する1年? 矯正治療期間と同じく2年?

当院は、この保定治療にゴールを設定していません。

なぜなら、ゴールが無いからです。

リテーナーを止めても歯並びが崩れないのがゴールなら、患者様に嘘をつくことになってしまう。

リテーナーを使用し続けるかどうかは患者様次第です。

ただ、リテーナーを止めるとわずかでも歯並びが崩れる可能性が出てしまいます。

歯並びは生き物の一部ですから保証することは出来ませんが、

歯並びを大切にされる患者様にお付き合いする事は出来ます。

それこそ一生でも。

マロニエ矯正歯科クリニックは矯正後の患者様に寄り添い続けます。

矯正治療をやっても結局崩れちゃうんだから意味無いよ、

なんて言われると我々は悲しくなってしまいます。

でも、それは我々矯正医の説明不足によるところだと思っています。

自分の健康は自分で守っていくものであるという事は、よく考えればわかることです。

ちゃんと保定に努めれば、歯並びは一生キープ出来ます。

それをちゃんと説明せずぼやかしてしまうのは、きっと我々のせい。

 

当院は必ず初心相談時に保定の事を説明しています。

保定の必要性、終わりは無く、止めるとどうなるか。

トラブルにならないためには、適切な説明と相互理解・情報の共有が不可欠ですから。

これからも当院はなるべく正しいと思う事を患者様に伝えていければと思っています。

患者様の飛行船は墜落させませんとも。

リテーナーさえあれば、ですが。