正常咬合
正しい歯並び、良い歯並びと言われ、矯正治療の目指すべきゴールとも言えるのがこの「正常咬合」です。現代の日本人では生まれつき正常咬合という人はかなり稀です。
歯並びにでこぼこしたところがなく、全体的にかみ合わせも均等という状態で、見た目も良く笑顔が美しい歯並びです。また、正常咬合は歯磨きもしやすくなるため虫歯や歯周病になるリスクも低くなります。
かみ合わせが良いと歯1本1本にかかる負担が減るため、歯の寿命が長くなります。
歯並びで気になるところはありますか?
- 歯並びがデコボコになっている→叢生
- 歯と歯の間に隙間が空いてしまっている→空隙歯列
- 口元が前にでてしまっている→歯性上下顎前突
- 上の歯がかなり前に出てしまっている→上顎前突
- 下の歯が上の歯より前に出てしまっている→下顎前突
- 噛んだ時に下の歯が見えない→過蓋咬合
- 噛んだ時に前歯が当たらない→開咬
- 奥歯が横にずれてしまっている→交叉咬合
- 歯がなかなか生えてこない→萌出遅延・先天欠如・埋伏歯
スペースの問題
叢生(歯の大きさ>顎の大きさ)
叢生とは「八重歯」「乱杭歯」「鬼っ歯」と呼ばれる歯並びのことです。歯の大きさと顎の大きさとのバランスが悪かったためすべての歯が綺麗に並びきらずにデコボコしてしまっています。歯並びが気になるという患者様の中で最も多い歯並びが叢生です。
見た目が気になる、かみ合わせがずれる、歯磨きがしにくい、口内炎ができやすいなど様々な症状が起こります。叢生の治療ではきちんと歯が並ぶスペースを確保するため、顎を広げたり歯を抜いたりという治療を行っていきます。
空隙歯列(顎の大きさ>歯の大きさ)(すきっ歯)
空隙歯列はいわゆる「すきっ歯」と呼ばれる歯並びのことです。歯の大きさと顎の大きさとのバランスが合わなかったために歯と歯の間に隙間ができてしまっています。中でも、真ん中の歯にこのような隙間ができていることを正中離開と呼びます。
空隙歯列の場合、歯と歯の間に食べ物が挟まりやすかったり、歯磨きがしにくいという症状があります。また、舌の悪癖を伴うことも多いです。空いてしまっている隙間を閉鎖する治療を行います。
歯性上下顎前突(歯の大きさ=顎の大きさ)
歯性上下顎前突は上下の前歯が前に出てしまっており、口元が前に突き出したような状態の歯並びのことです。歯性上下顎前突の場合、歯並びが良いと勘違いされがちですが、リラックスした状態では口を閉じることが難しいという症状があり、無理に閉じようとすると顎の先にシワが寄ります。口が閉じにくいため口呼吸になってしまったり、横顔の口元が悪くなってしまったりします。前に出てしまった歯を正しい位置へと後退させるため、歯を抜いて治療していきます。
前後の問題
上顎前突(出っ歯)
上顎前突はいわゆる「出っ歯」のことです。下の前歯よりも上の前歯がかなり前に出てしまっている状態で、口が閉じにくかったり、口を閉じている時も上唇が前に出たり、笑うと上の前歯が目立つ、前歯が出ているためぶつけやすい、前歯がうまく噛み合っていないため奥歯に余計な負担がかかってしまうなどの症状があります。上顎前突には3種類の原因が考えられますが、症状によって治療法が変わってきます。
- 骨格的に上顎が前に出ているという状態。(骨格性上顎前突)
- 骨格的に下顎が後ろに下がっているという状態(下顎後退を伴った骨格性上顎前突)
- 骨格的には正常なものの、歯の位置がずれて出っ歯になってしまっている状態(歯性上顎前突)
下顎前突(受け口・しゃくれ)
下顎前突は「受け口」「しゃくれ」と呼ばれる状態のことです。上の歯よりも下の歯の方が前に出てしまっているため、口を閉じると下唇が前に出ます。下顎前突では舌の悪癖もあることが多く、滑舌が良くないということも多いです。また、前歯がうまく噛み合っていないため奥歯に余計な負担がかかってしまいます。下顎前突では4種類の原因が考えられますが、症状によって治療法が変わってきます。
- 骨格的に下顎が前に出ているしまっている状態(骨格性下顎前突)
- 骨格的に上顎が後ろに下がってしまっている状態(上顎後退を伴う骨格性下顎前突)
- 骨格的に正常なものの、歯の位置がずれて受け口になってしまっている状態(歯性下顎前突)
- 前歯の先端がぶつかりっており、下顎を前に出さないと咬むことができない(機能性反対咬合)
上下の問題
過蓋咬合
過蓋咬合はかみ合わせが深く、上の前歯が下の前歯に覆いかぶさるようになり下の歯が見えにくくなってしまっている状態です。見た目では気付かないものの、過蓋咬合では奥歯のみかみ合わさっている状態になっているため、奥歯に負担が集中してしまいます。更に、顎を動仮想とした時に前歯がひっかかるので顎の関節にも負担がかかります。前歯を沈める、奥歯をより生やすなどの治療を行っていきます。
開咬
開咬は噛んだ時、上下の前歯が当たらずに隙間が空いてしまっているという状態です。とてもかみ合わせが悪く、奥歯に非常に負担がかかっています。前歯をより生やすか、奥歯を沈めて治療します。また、舌の悪癖を伴うため、舌のトレーニングも行います。開咬はリバウンドの起こりやすい歯並びなので、しっかりと舌のトレーニングを行うことが大切です。
交叉咬合
交叉咬合はかみ合わせが横にずれてしまい、反対になっている状態のことです。見た目にはわかりにくいものの、かみ合わせが悪いので治療する必要があります。全体的にずれているケース、一部だけずれているケースがあります。歯を内側、もしくは外側に動かして治療を行います。
その他の問題
萌出遅延
萌出遅延とは、歯が生えてくるのが遅い状態のことです。反対側の同じ歯が生えて半年を過ぎても生えてこないという場合、何かしらの原因が合って歯が生えてくるのが遅れていると考えられます。まずはレントゲンを撮影し、原因を確認して治療を行います。
先天欠如
永久歯は親知らずを含めずに、全部で28本ありますが、生まれつき歯が足りないことがあります。これが先天欠如です。先天欠如は10人に1人の割合で起こると言われており、なかなか乳歯が抜けない、乳歯が抜けたのにいつまでも永久歯が生えてこないなどの場合は先天欠如が考えられます。
乳歯をなるべく長く残すか、スペースを閉じるために矯正治療を行う必要があります。
埋伏歯
埋伏歯とは、上手く生えて来ることができなかったため骨の中に埋まってしまっている状態の永久歯のことを指します。前歯、犬歯に多く見られる埋伏歯は、永久歯が生えてこないことから萌出遅延と間違われることもあります。正しく生えてこない場合、放置したままにすると隣の歯を吸収してダメージを与えたりする恐れもあるため、矯正治療を行って正しい位置に生えるように導いてあげる必要があります。