質問
インビザラインでの矯正中、医者に同意も説明もなく勝手に歯を6本削られ、矯正が終わった今も(医者が終了と診断)削られ過ぎた歯と歯の隙間が埋まらず悩んでいます。
気になる箇所はその削られた6本の歯だけなのですが、削られ過ぎたせいで歯もずいぶん小さくなってしまい、次にどのような歯医者を頼って受診すべになのか不安でなかなか病院を選ぶことができません。何かアドバイスをいただけましたら大変心強いです。よろしくお願いいたします。
回答
マウスピース矯正後の仕上がりに不満がある、ということですね。
歯の側面部を削るのは、矯正治療では良くやる処置です。
ディスキング、といって少量であれば歯への悪影響はありません。
ですが、同意を得ずに行ったというのは良くないと思います。
また、スペースが閉じきらぬままに終了としたのも問題ありですね。
出っ歯だったりでこぼこだったりする歯並びの原因はスペース不足です。
改善するためには、スペースを作る必要があります。
大量にスペースが必要な場合は抜歯したりもします。
少量で済む場合、歯の側面部を削るディスキングを行うことがあります。
歯医者は歯を削る場所なので、矯正歯科でも歯を削ります。
歯の表面は、エナメル質という人体で一番硬い層に覆われています。
虫歯などでエナメル質に穴が開き、象牙質に到達すると痛みが出ます。
エナメル質がいくら傷ついても歯にはダメージはありません。
エナメル質の厚みは薄いところで1mmほどです。その半分くらいなら削っていいだろうということで、
最大0.5mmまではディスキングして大丈夫、というのが矯正歯科医師の中で定説となっています。
必要のない時は積極的にはやりませんが、スペースが必要な時、
上下の歯の大きさのバランスが悪い時、生じたブラックトライアングルを消滅させるときなどに行います。
ただ生きているだけで、自然と歯は削れていきます。
歯は消耗品なので、少しくらい削れても問題はありません。
だからと言って、許可なく歯を削られて気持ちがいい人はいません。
なので、通常であれば、歯を削る必要性や安全性を説明したうえで削るものです。
質問者様のように、勝手に削ればトラブルになるに決まっているので、
いつも許可なく削っていることはないのではないかと思います。
質問者様の処置のときにたまたま説明が漏れてしまったか、
初診時や診断時にすでに説明済みか、渡された同意書などに書いてあるのではないかと思います。
インビザラインは、何枚目で、どの部位を、何ミリ削る、というのを
自分でプランニングしておくものなので、その日に削ることは決まっていたと思います。
インビザラインは、ワイヤー矯正と比較した弱点をディスキングでカバーしているところもあり、
あえて削らずに治そうとしない限り、ほとんどのケースでディスキングすることが多いです。
歯を小さくし過ぎてしまうと見た目的にも変なので、削る量は歯によって調整します。
その調整が甘かったか、担当医の技術的な問題で、削りすぎてしまうこともあるかもしれません。
歯を削りすぎたとしても、スペースを閉じることは出来ます。
スペースが残ったまま終了となったのは、手抜きか、担当医の目が節穴であったということでしょう。
おそらく前者だと思います。スペースは残ってるけどまあまあ良くなったから終わりにしたということです。
スペースが空いたままで過ごしていくことはストレスになることでしょう。
なので、今後の対応としては何パターンかあります。
①再治療を行い、スペースを閉じる。(元の医院か、別の医院で)
②歯を大きくする。(プラスチックで埋めるか、セラミックを被せる)
③ほっといて、自然に閉じるのを待つ。
①再治療を行い、スペースを閉じる。
治療終了となったものの、また治療を再開することが出来ます。
歯科医師側の話をすると、インビザライン・コンプリヘンシブパッケージというのは、5年間作り直し放題です。
安くて短期間のインビザラインGOや、インビザラインの安いプランでない限り、だいたいコンプリヘンシブだと思います。
昔は無料で作り直しでしたが、今は送料のみ数千円かかるようになりました。
海外からの送料がかかると言っても一回数千円ですし、患者さんが支払う金額からすると微々たるものです。
作り直しを有料としている歯科医院もありますが、実はほとんどコストはかかっていません。
インビザラインを含むマウスピース矯正というのは完璧な治療ではなく、3~5回は再作製して治していくものです。
治るまでが矯正治療であり、治ってないまま終了とするのは良くないことだと思います。
患者さんの方からもう十分だから早く終わらせたいとギブアップしているならともかく、
患者さんが満足していないのに歯科医師の判断で終了とするのは誤りだと言えるでしょう。
特にインビザラインは、矯正歯科医師側に大きな苦労もなく治療を継続できます。
なので、もともと通っていた歯科医院に言ってまたインビザライン治療を再開するのは一番良いと思います。
ただ、医院のシステムとして、マウスピース再作製が有料の場合はその費用がかかるはずです。
今の歯科医院が信用できない、ということでしたら他の矯正歯科医院に相談されると良いと思いますが、
多少値引いてくれる可能性はあるものの、また矯正治療費がかかってきてしまうと思います。
②歯を大きくする。
隙間も気になると思いますが、歯が小さくなってしまったのも気になるということでしたら、歯を大きくしましょう。
歯自体は成長したりしないので、プラスチックを盛って大きくするか、歯にセラミックを被せて大きくすることになります。
プラスチックで盛るのは、安価ですぐできますが、レジンという樹脂は劣化が早く、時とともに見た目が悪くなります。
歯にセラミックを被せるのは、見た目も良く長持ちしますが、費用がそれなりにかかってしまいます。
プラスチックにせよ、セラミックにせよ、歯をある程度削る可能性があります。
ディスキングで歯を削って大丈夫と言いましたが、被せるために削るのは歯の寿命を縮めてしまいます。
なので、見た目の回復は出来ますが、長い目で見た時に歯を大きくするのはあまりおすすめではありません。
③ほっといて、自然に閉じるのを待つ。
現在スペースは空いているものの、うまくいけば勝手に隙間が閉じる可能性があります。
歯はみんな前に動きたがる習性があり、年を取るとみんな前歯がでこぼこしてきます。
これから親知らずが歯を押してくれる可能性もあり、ほっといて隙間がなくなるかもしれませjん。
ただ、リテーナーを使用していると自然と閉じにくいですし、リテーナーを止めると歯並びは崩れます。
自然に閉じるのを待っていても閉じないかもしれませんし、隙間がもっと開く可能性もあります。
①も②もやらずにいたら、もしかしたら閉じるかも、くらいに思っているのが良いでしょう。
①を選ぶなら、元の歯科医院へ。嫌なら他院でセカンドオピニオンを受けましょう。
②を選ぶなら、一般歯科医院に相談に行きましょう。矯正以外で隙間を閉じる方法を教えてくれるでしょう。
①②を選ばない場合、そのうち閉じるのを期待して、閉じなかったら諦めましょう。
不適切ともいえる対応をされ、矯正歯科やインビザラインに不信感をもってしまったかもしれませんが、
治す方法はいくらでもあります。元の歯科医院に気持ちを伝えるのが安価で確実な方法と思われます。
再治療を行うようでしたら、今度こそご自身が納得する形で終了としましょう。