矯正治療症例:早期矯正
まだ乳歯が残っている6才〜12才くらいまでの期間で行う矯正治療です。子供の矯正治療とも言われ、小学生の間に行います。
乳歯の歯並びから少しずつ永久歯に生え変わってくる時期で、永久歯が生えてみたらでこぼこだったり、すきっ歯だったり、将来的にお子様の歯並びがキレイに生え揃うのだろうか?と心配になり、相談にお越しいただくことが多いです。
歯並びは一度悪くなると、ほとんどの場合そのまま悪くなっていきますので、まあ大丈夫だろうと思わず、お早めに相談に行かれると良いでしょう。
気になって相談に行った患者様からスタートしていくため、開始タイミングはまちまちです。
主訴 | 左の2番目の歯が反対に生えてきた、出っ歯が気になる |
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診断 | 叢生・上顎前突 |
年齢 | 9歳(初診時) |
治療装置 | スプリング付き拡大プレート、マルチブラケット装置、バイオネーター |
使用装置 | クリスタブレース3(0.22) |
使用ワイヤー | ナノホワイトワイヤー |
保定装置 | ホーレータイプリテーナー |
治療期間 | 3年1ヶ月 |
治療費用 | 378,000円(税込) |
治療リスク | 咬合時痛、歯肉退縮、歯根吸収、歯髄壊死、後戻り |
左上の歯が裏側から生えてきたのが気になるという患者さん。スペース不足により歯並びが前後することはよくあります。生え変わり中ですが、永久歯がキレイに生えきるスペースも足りておらず、完全に生え変わるとでこぼこになってしまうことが予想されます。また、前歯が出っ歯になり、咬み合わせも深く、良い咬み合わせではありません。
まず、拡大プレートを使用して、上下の顎を側方に拡大します。成長期なので、横に押す力を加えると本来の成長量よりもより幅広な顎にすることが可能です。土台が拡がることで歯が生えるスペースを増やします。成長期だからこそ可能な治療方法です。
拡大プレートにスプリングを組み込むことで、引っ込んだ前歯を押し出すことが出来ます。
当院では拡大プレートの使用は寝るときだけで十分としています。装置の限界があるので、上顎2個、下顎2個使用します。
可能な限り顎を拡げ、スペースが出来たら生え変わりを待ち、犬歯が生えてきたタイミングでブラケットを装着します。顎を拡げただけで自然と良い歯並びにはならないので、歯並びを整えるのはマルチブラケットの役目です。当院ではお子様にもホワイトワイヤーを使用しております。
歯並びが整ったらブラケットを外しますが、まだ前歯の咬み合わせが深く、出っ歯になっています。バイオネーターを使用して下顎の前方成長を促進します。10〜12才ごろを狙って1日8時間以上顎をしゃくれさせていると、下顎が伸びてくれます。下顎を前に伸ばすことで出っ歯を改善しつつ、装置の効果で奥歯を生えやすくして咬み合わせを浅くします。咬み合わせが改善したら早期矯正治療は終了です。
早期矯正治療によって、歯並びが整い、咬み合わせが改善し、口も閉じやすくなりました。良好な治療結果が得られたので、本格矯正治療(永久歯が生えそろった後の矯正治療)は行わない方針としました。治療後の歯並びはリテーナーを使用してキープします。上顎犬歯の横に少しスペースが残っていますが、自然閉鎖を待つことにしました。
いかがだったでしょうか?矯正治療は永久歯が生えそろってから行うものと思っている方も多いとは思いますが、このように小学生の間に治しきってしまい、中学に上がる頃には良好な状態で過ごすことも出来ます。うまく咬めない、見た目が悪いというのは、幼いお子様にとってもストレスとなるはずです。早めに治療してあげることがお子様のためになるかもしれません。