「一期一会」の歯並び相談

今日は、ちょっと暑苦しクサい内容ですので、

真面目っぽい話が好きでない人はあまりオススメでありません。

日々思うこと。「歯並び相談」について。

マロニエ矯正歯科クリニックの初診相談は、90分の時間を頂いております。

これは、矯正相談の時間としてはかなり長い方なのです。

だいたい、30分枠で行う歯科医院がほとんど。

60分かけて行う歯科医院は少数でしょう。

その中で、90分かけて説明するのには理由があります。

まず、必ずパノラマX線写真を撮影します。

レントゲンは外から見てもわかり得ない情報の宝庫です。

子供の場合は、まだ生えてない永久歯の状態や乳歯の状態がわかります。

先天欠如や埋伏歯がある場合、矯正治療や抜歯を急いだ方がいい場合があります。

大人の場合は、親知らずや歯周病の状態がわかります。

基本的に無症状で進行する歯周病の早期発見は歯を残していく上でとても大事なこと。

レントゲン無くして、正しく患者様の状態を把握することは出来ません。

むしろ、レントゲンを撮影せずにどうやって適切な相談をしようというのでしょうか。

次に、口の中の写真と顔の写真を撮影し、パソコン上で患者様に見て頂きます。

鏡で口の中を見ても良く見えないですし、横顔を見ることなんて出来ません。

大きな画面で実際の自分の口の中を客観的に確認していただくことで、

より自分自身の置かれている状況を理解してもらい、問題点の共有や発見が出来ます。

レントゲン写真や顔写真・口腔内写真は必ず印刷してお持ち帰りいただいています。

相談の時に少し見ただけでは忘れてしまうでしょうし、家族に説明することも難しいでしょう。

印刷されたものがあれば、いつ何時でも自分の歯並びを確認することが出来ますから。

諸々の写真を取り終わった後は、診療台で問診票の確認をしながら、

患者様と保護者様と一緒に歯並びを診て、現在の状態の説明をして行きます。

ここまでで、だいたい30分ほどです。

院長室に移動してからは、撮影した写真類をもとに、可能な限り問題点を抽出していきます。

歯並びがこの状態だとどのような弊害が出るか、ほっておくとどうなってしまうのか。

ご自身が抱える問題を知ってもらった上で、矯正治療についての説明をして行きます。

数十枚のスライドを用いて、矯正治療とはどういうものかという説明を行います。

私は、患者説明は患者教育だと思っています。

矯正歯科とは、あまりにマニアックな分野であり、ほとんどの人が無知なのです。

これは決してバカにしているとかではなく、知りうる機会がほぼ無いに等しいからです。

実は歯科医師でさえ、大半の人は一般人とそれほど知識の差はありません。

矯正歯科という学問は、歯科医師になった後で専門的に習得しなければならず、

矯正専門歯科医師しか、ちゃんとはわかっていないのです。

ですから、当院に起こしいただいた患者様にはより正確に、

私が正しいと思うことをお伝えする必要があります。

それが、専門的知識を持つ者の務めであると思います。

 

なぜ歯並びが悪くなるのか、

なぜ矯正治療をする必要があるのか、

なぜ治療期間がかかるのか、

なぜ矯正治療は痛いのか、

なぜ歯を抜かなくてはならないのか、

なぜ治療後に歯並びが崩れるのか、

料金は総額でどれほどかかるのか、

医療費控除の適応となるのか、

どのような方法があり、それぞれの治療法のメリット・デメリット、などなど。

 

患者様が矯正治療を始めるにあたって、事前に知っておくべきことは山のようにあります。

一生に一度のことですから、簡単な気持ちで始めるわけにはいきません。

なるべく矯正治療に関する疑問点が無くなるように、わかりやすく説明しつくすためには、

どう頑張っても90分はかかってしまうのです。

ちゃんと矯正治療の良い点、悪い点を全て理解した上で、矯正治療を始めていただきたいのです。

多くの矯正歯科医院での患者様からのクレームで多いのは、

「聞いていない」「知らなかった」「説明が無かった」です。

それもそのはず、ちゃんと説明していないのですから、

不都合があった時に患者様が怒るのも無理はありません。

また、医院はちゃんと説明しているにもかかわらず、

このように感じてしまう患者様もいらっしゃるでしょう。

ただ説明すれば、「説明した」ということにはなりません。

説明書きを渡せばいいというものでもありません。

歯医者が説明して、患者様が理解して、患者様が記憶して、

始めてちゃんと説明したことになるのです。

「患者に説明しても、患者はよくわかってないから時間の無駄だ」という歯科医師がいました。

私は、患者様がちゃんと理解してくれることを諦めません。

ちゃんと丁寧に時間をかけてご説明すれば、ちゃんと患者様はわかってくれる。

よりわかりやすく、時にユーモアも織り交ぜながら、

少しでも上手く説明できるように常に模索しています。

患者様が長い話に興味が無さそうでも、私は説明の手を緩めることは致しません。

ちゃんと相談時にご説明することが、

患者様が安心して矯正治療を始めることにつながると信じて。

なぜ、ここまで矯正相談に情熱を注いでいるのか。

それには理由があります。

私が、相談に来た人にとって、「世界でたった一人の矯正医」かもしれないからです。

矯正治療なんてものは、普通一生に一回しかしません。

ですから、患者様にとって矯正医は世界に1人だけ。

当院を選んで頂いた患者様には、世界一の矯正医だと思ってもらえるように仕事をしています。

世界中の矯正歯科医師の中から、私を選んでくれたのですから。

でも、矯正相談にいらっしゃったけれど、当院で矯正治療をされない方もいます。

その人達は、他の歯科医院で矯正治療をしているのかもしれませんし、

矯正治療自体を一生しないのかもしれません。

もし、矯正治療をしないのであれば、私が最初で最後の矯正医かもしれません。

世界でたった一人の矯正医が、いい加減な説明をしてしまったらその人はどうなるでしょうか。

 

ほんとは矯正治療をやらないとマズい歯並びなのに放置して、

将来的に入れ歯になってしまうかもしれません。

永久歯が生えきるまでほっといていいよと言われて放置して、

いざ生え揃ったら歯並びがでこぼこになり、

歯を抜いて矯正しなくてはならなくなってしまうかもしれません。

反対咬合なのに様子見と言われて放置されて、

将来手術が必要なくらいしゃくれてしまうかもしれません。

そして、「あの時矯正治療をやっておけば良かったなー」と思うかもしれません。

 

ちゃんと説明を受けていれば、当院でなくてもいつかどこかで矯正治療をやるかもしれませんし、

もし一生やらないとしても、自分の置かれている状況をちゃんと知ってほしい。

当院だけにしか矯正相談に来なかった人に、私はおせっかいを焼きたいのです。

一生のうちに二度と会わないかもしれない人達も、

私にとっては私の患者です。

90分間の一期一会のめぐり合わせは、常に真剣勝負。出し惜しみなんて出来ません。

矯正治療は、言い過ぎでなく、人の人生を変えてしまうほどの力があります。

矯正相談が、人生のターニングポイントになるかもしれない。

私は、相談に来た人との会話ひとつひとつに、患者様の人生への責任を感じています。

いい加減な発言や、ウソ、説明不足があってはならないと思っています。

一期一会だからこそ、お互いに悔いの残らぬ時間にしなくてはならない。

30分や60分なんかじゃ全然足りない、90分でもまだ足りない。

私が矯正医として最善を尽くすため、当院はしっかりみっちり矯正相談をしております。

そうすることが、矯正を識る者としての使命だと考えています。

私はこれまでにお会いした患者様のことは、全員覚えています。

長い矯正医師人生の中で出会うであろう、数千数万の患者様たちのこともきっと忘れません。

世界でたった一人の矯正医は、一期一会の運命を大切にします。

来る、3月17日・18日には3回目の見学相談会を催します。

ふらっと起こしいただいた方々が、

来てよかったと思えるような相談会に出来るように頑張りたいと思います。

予約不要ですので、予約をとるのが億劫な方も起こしやすいかもしれません。

たくさんの一期一会に、ありったけの情熱を注いでいきたい。